トマトをもぐたび「ありがとう」

今日は仕事が休みなので、久しぶりに畑に行けました!

畑に向かう車中から、もう幸せです。道中の景色に森が多いせいもあるのだと思いますが、実際の距離と共に植物(畑の野菜達)に近づいている感じがして、森を見ているともう、わけなく幸せになってきます。

借りている小さな畑は、寒冷地にあるからか標高が高いからか、我が家の野菜達はゆっくり色づきます。実は、トマトもキュウリもナスも、今がようやくピーク。

嬉しい収穫をしながら、今日は泣きそうになりました。具体的にはトマトをもぎながら。

トマトは雨に当たらないように、ということでビニールの屋根で覆っています。でも、貧乏性の私たちは、298円の「高級苗」を少しでも増やしたくて、脇芽をとっては挿し、とっては挿しして株数を増やしました。結果屋根の下からはみ出す苗達。

まだトマトが青い頃、今年の長雨に当たってしまった「はみ出し」苗達が、まず病気になりました。トマトの疫病で、プロの農家さんなら見つけ次第株ごと引き抜き焼却して流行を防ぐという怖い病気です(多分)。気づいたときには、雨に当たる外側の株から、内側の株にもうつった後でした。

葉もたくさん落ちました。雨に当たった株の実は大半が落ちてしまいました。その中でも一番病状がひどかったのが、大玉トマトの桃太郎です。葉や実が落ちるだけではなく、メインの茎にも病斑が出ました。しかも虫にも食べられたようで、茎に大きな穴が開いています。病気の葉を落としていったら、上の方にオバQの毛みたいなちょろっとした葉しか残りません。青い実がかろうじて3,4個残っているでしょうか。

プロがするように、根元から切ろうとしたのです。これ以上被害が広がらないように。でも、思いきれませんでした。トマトが全力で生きようとしていたからです。病気で落ちた葉の後から、小さな小さな脇芽が出ています。数少ないオバQ葉っぱも、必死に伸びようとしているように見えました。

病気が広がる不安はありましたが、元はといえば欲張って株を増やし、雨に当ててしまったわたし(人間)が悪いんであって桃太郎は悪くない。桃太郎に謝りました。うまく世話してあげられなくてごめんね。気づけなくてごめんね。実はつけなくていいから、秋の畑じまいまで皆と一緒にいよう。

他の病気のトマトにも、同じように謝りました。そうして100倍に薄めた酢をスプレーしました。その後晴れたせいか、酢が効いたのか、病気の進行が止まったような気がしました。でもその後雨が続くとまたぶり返し、もう一度酢スプレーをしました。

それぐらいしかできなかったのに、涼しくなったからか病気の進行がゆっくりになり、雨に当たり続けたはみだし株では残った数少ない実が色づき始め、内側の株はほとんど実を落とすことなく、たわわに赤い実がなりました。

なんと桃太郎も、葉はほぼないにも関わらず、残った実がしっかり赤く熟しました。

桃太郎の実をもぐ時、自然に「ありがとう、がんばったね。おいしくありがたく頂きます」と話しかけていました。泣きそうになりました。他のトマトをもぐ時も同様です。人間が勝手な思いで植え、雨に当てたり脇芽をかいたりヒモで柱に縛り付けたりといたらないことばかりなのに、健気に必死に生きて、エネルギーの固まりのような、滋味あふれる実を与えてくれる。

野菜は、植物は、本当に力強くてやさしいです。

今は野菜の力に助けられるばっかりですが、もっと勉強し経験して、野菜の「頼れる助っ人」に早くなるんだ!!